急性糸球体腎炎
Acute glomerulonephritis
急性糸球体腎炎とは
急性に発症する血尿、蛋白尿、高血圧、糸球体濾過量低下、ナトリウムと水の貯留を主徴とする症候群(急性腎炎症候群)の代表的疾患。
好発年齢は5~12歳。男女比は男:女=2:1。
急性糸球体腎炎の症状
血尿(麦茶色、コーラ色の尿)、尿が出なくなる(乏尿)、浮腫、高血圧、腎機能低下
急性糸球体腎炎の原因
A群β溶連菌の感染1~4週間後に症状を示す。溶連菌の菌体抗原成分とこれに対する抗体による免疫複合体が形成され、腎糸球体に沈着して傷害を引き起こす。他にブドウ球菌、マイコプラズマ、B型肝炎ウイルス、ヒトパルボウイルスBなどの感染症がある。
急性糸球体腎炎の検査
1.尿検査:著名な血尿。蛋白尿はまれ。
2.血液検査:溶連菌感染を示す抗ストレプトリジンO抗体(ASO)陽性、補体C3・CH50低下、血清カリウム上昇
3.腹部超音波:他の腎疾患の鑑別のため
急性糸球体腎炎の治療
塩分と水分の体内貯留による溢水(体内に過剰に水分がたまること)と高血圧に対する治療が基本です。肉眼的血尿、浮腫、高血圧、高度蛋白尿がみられた場合は、補体が正常化するまでの約1か月間の入院が必要です。
1.水分管理:体内に入る水分と出ていく水分のバランスを調整する
2.塩分制限:1日0~3gまでに制限し、高血圧を軽減する。
3.抗菌薬:溶連菌感染による症状が続いている場合に投与する。
4.利尿剤:排尿により体に貯まった水分の排泄を促す。
5.降圧剤:利尿剤でコントロール困難な高血圧に対して使用する。
先生からのひとこと
溶連菌感染症後におこる合併症の1つ。血尿以外に無症状で本人は元気なことが多いですが、長期入院とベッド上安静、車いす移動が必要になります。血尿は一般の方には赤い尿のイメージがありますが、実際の血尿は麦茶色またはコーラ色です。このような肉眼的血尿がみられたら速やかに尿を持って医療機関を受診しましょう。