症状詳細 症状詳細

腎泌尿器疾患

                           症状名
ネフローゼ症候群 Nephrotic syndrome

ネフローゼ症候群とは

尿中へ大量の蛋白が漏れて(高度蛋白尿)、低蛋白血症をきたす病気。体がむくみ、抵抗力が低下し感染症にかかりやすくなる。血管内脱水で血栓ができやすくなります。。小児10万人に6.5人が発症。好発年齢は3~6歳。男女比は男:女=2:1。

ネフローゼ症候群の症状

まぶた・顔面・下肢の浮腫、腹水による腹部膨満、尿量減少、腹痛・下痢・嘔吐などの腹部症状

ネフローゼ症候群の原因

小児では原因不明の特発性ネフローゼ症候群が多く約90%を占めます。液性因子の免疫異常が推測されています。小児特発性ネフローゼ症候群の80~90%は微笑変化群と言われるステロイドによる薬物治療がよく効くタイプです。但し、再発しやすいという特徴もあります(再発率70~80%)。

ネフローゼ症候群の検査

1.尿検査:高度の蛋白尿。腎機能低下。
2.血液検査:蛋白・アルブミン低下。コレステロール・中性脂肪上昇。腎機能低下(BUN, Cr, シスタチンC上昇)。免疫グロブリンIgG低下。
3.腹部超音波:胸水・腹水貯留。腸管浮腫。他の腎疾患の鑑別。
4.胸部X線:胸水の確認

ネフローゼ症候群の治療

1.ステロイド:少なくとも2か月間の内服治療を行います。投与の仕方は2か月間で終了する国際法、3~6ヵ月間かけて徐々に用量を減らす長期漸減法があります。

2.H2受容体拮抗薬:いわゆる胃薬。ステロイドの副作用である消化性潰瘍を予防します。

3.ビタミンK,D製剤:骨を強化する薬。ステロイドの副作用である骨粗鬆症を予防します。

4.アルブミン製剤:失われたアルブミンという蛋白を点滴補充します。

5.その他の治療:治療抵抗性、難治例の場合は、免疫調整剤や分子標的治療薬、プリン代謝拮抗薬を用いることもあります。

〔ステロイドの副作用〕
長期間ステロイドを投与するため以下の様々な副作用がでることがあります。
免疫抑制、中心性肥満、多毛、消化性潰瘍、骨粗鬆症、緑内障、うつ病、成長障害、糖尿病、食欲亢進、白血球増加、副腎不全、生ワクチン接種不可

 

                           宮崎先生よりひとこと

先生からのひとこと

ネフローゼ症候群は小児でしばしばみられる腎疾患で、2ヵ月以上の長期入院が必要になります。薬が効きやすいという長所もありますが、再発しやすいという短所もあり入院を繰り返すお子さんもいます。またステロイドの副作用にも十分注意が必要で、抵抗力が落ちるため、ただのかぜでも重症化することもあります。予防接種に定められている疾患のみずぼうそうやおたふくかぜにかかると命を落とす可能性もあります。普段から予防接種はすべて確実に接種しておきましょう。