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消化器疾患

過敏性腸症候群 Irritable bowel disease

過敏性腸症候群とは

腹痛や腹部不快感などの消化器症状を呈し、そのような症状の原因となる器質的疾患が検査で認められない症候群を機能性消化管障害(FGIDs)といいます。そのなかで中部~下部消化管に起因する症状を認めるものの1つが過敏性腸症候群です。
思春期~若年成人が好発年齢であり、女性に多い。生命予後に関与しない良性疾患ですが、社会的孤立、不登校など生活の質の著しい低下の原因となります。

過敏性腸症候群の症状

反復性腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘(※腹痛は心理的要因で増悪し、排便により軽減する)

過敏性腸症候群の合併症

機能性ディスペプシア、起立性調節障害、不登校、うつ病、不安神経症

過敏性腸症候群の原因

遺伝的要因、環境要因(虐待、親の過保護などの家庭環境、消化管炎症)、心理社会的要因(友人、学校教諭、家族などのトラブル)などが複雑にかかわり、自律神経系に異常をきたし、内臓知覚過敏や消化管運動機能異常を呈します(脳腸相関)。

過敏性腸症候群の検査

過敏性腸症候群を診断するための検査はありません。検査では基本的に異常を認めません。
検査は他の器質的疾患を鑑別除外するために行います。
1.血液検査
2.便検査
3.腹部超音波検査
4.心理知能検査:発達障害や心理的要因が強く疑われる場合に行います。

過敏性腸症候群の治療

1.食事療法
(1)低FODMAPダイエット:フルクタン(小麦、タマネギ)、オリゴ糖(レンズ豆)、果糖、乳頭などの糖類を含む食品摂取の制限を行います。
(2)下痢型ではカフェイン、香辛料、高脂肪食、炭酸飲料、排ガスを促進する野菜(いも類、豆類、ゴボウ、果物)などを避ける。
2.薬物療法
(1)過敏性腸症候群治療薬(コロネル®、ポリフル®):第一選択薬
(2)消化管運動改善薬(ガスモチン®、セレキノン®):便秘型に対して
(3)5-HT3受容体拮抗薬(イリボー®):下痢型に対して
(4)抗コリン薬(ブスコパン®):腹痛に対して
(5)漢方薬:桂枝加芍薬湯、小建中湯、大建中湯、人参湯、抑肝散など
(6)便秘薬(リンゼス®):腹痛を伴う便秘型に対して
(7)向精神薬:抗不安薬、抗うつ薬。心理的要因が強い児に対して
3.心理療法
(1)カウンセリング
(2)行動療法
(3)小児心身症専門医による心のケアと環境調整

先生からのひとこと

消化管は環境変化や精神的ストレスなどが鋭敏に影響する臓器です。自分の意見や主張をうまく言えない内向的になお子さんや他人から頼られ頑張りすぎる優等生タイプのお子さんは、精神的ストレスを内にためやすく本疾患になりやすいです。本疾患は検査上、異常所見は認められませんが、決して怠けていたり仮病ではありません。お子さんの症状を受け入れて、お子さんの訴えを否定せず、言いたいことや悩みをじっくりと聞いてあげ共感してあげましょう。症状改善には時間がかかりますし、完全に症状が消失しないこともしばしばありますが、焦らず症状とうまくつき合っていくことが大切です。