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循環器
自律神経疾患

                           症状名
川崎病 Kawasaki disease

川崎病とは

乳幼児を中心に全身の中型血管に炎症を起こす病気で特徴的な急性期症状を示します。心臓を栄養する血管である冠動脈に特異的に炎症を起こし、冠動脈拡張病変を合併する特徴がある。

川崎病の症状

  1. 発熱
  2. 両方の白目(眼球結膜)の充血
  3. 唇が赤くなり舌が苺のようにぶつぶつになる(いちご舌)
  4. 発疹やBCG接種部が腫れる(不定形発疹)
  5. 手足が赤く腫れる(硬性浮腫)
  6. 首のリンパ節が腫れる

上記の6つの症状のうち5つ以上をみたせば川崎病の確定診断となります。

 

川崎病の合併症

冠動脈瘤、肝障害、胆嚢腫大、腎障害、膵障害、心筋炎

川崎病の原因

原因不明。地域的な流行がみられたり、兄弟で同じ時期に間をおいて発症することがありますが、人から人へうつる病気ではありません。

川崎病の検査

1. 血液検査

白血球増加、炎症反応(CRP)上昇、血小板増加、アルブミン低下、ナトリウム低下、血管炎マーカー(D-ダイマー)上昇、心臓傷害マーカー(BNP)上昇

2.尿検査

尿中白血球増多

3.心臓超音波

冠動脈壁の輝度上昇、冠動脈拡張・瘤形成、僧帽弁逆流、大動脈弁逆流、心嚢液貯留

4.腹部・表在超音波

肝脾腫、胆嚢腫大、ブドウの房状の頸部リンパ節腫脹

5.心電図

PR,QT時間延長、異常Q波、低電位、ST-T変化、不整脈

川崎病の治療

下記の1と2のセットが標準治療

1.抗血栓薬(アスピリン®)

内服薬。炎症を抑える効果と血液をさらさらにして血栓を予防する効果があります。

2.免疫グロブリン静注療法(ベニロンIH®,ヴェノグロブリンIH®)

血液製剤。全身の炎症を抑え、冠動脈の炎症や瘤形成を抑制します。

3.ステロイド(プレドニン®)

強い抗炎症効果があります。免疫グロブリン不応ハイリスク群の症例に併用します。

4.その他の薬剤

難治例には蛋白分解酵素阻害薬、免疫調整剤、生物学的製剤などを使用します。

 

                           宮崎先生よりひとこと

先生からのひとこと

川崎病を発症した子供のお母さんは、聞いたことのない病名告知やわが子の苦しむ姿、病状への不安で心が押しつぶされそうになりますが、川崎病は小児では決して珍しくないありふれた血管炎の病気です。治療法も確立されており、大半が心臓合併症なしに元気に退院しますのでご安心を。いかに早く診断をつけて発熱から7日以内に治療を開始できるかが治療の鍵です。