お知らせ お知らせ

循環器
自律神経疾患

起立性調節障害 Orthostatic dysregulation

起立性調節障害とは

自律神経の働きが悪くなり、起立時に血圧が上がらず身体や脳への血流が低下することで様々な不定愁訴を呈する病気。心理社会的ストレスをかかえているお子さんが多い。小学生高学年~中学生に好発。男子より女子の方が2割多い。

以下の4つのタイプがあります。
1.起立直後性低血圧:起立直後に強い血圧低下および血圧回復の遅延を認める。
2.体位性頻脈症候群:起立中に血圧低下を伴わず、著しい心拍数増加を認める。
3.神経調節性失神:起立中に突然に血圧低下し、意識低下や意識消失発作を生ずる。
4.遷延性起立性低血圧:起立直後の血圧・心拍数は正常だが、起立3~10分後に血圧低下をきたす

起立性調節障害の症状

朝起き不良、食欲不振、全身倦怠感、入浴時や立っていると頭痛や気分が悪くなる、立ちくらみ、疲れやすい、動悸、寝つきが悪い、失神発作、乗り物酔いしやすい、思考力低下、成績の低下、イライラ、腹痛、不登校など。
症状は午前中強く、午後からは体調が回復します。夜には元気になり目がさえて寝られません。

起立性調節障害の原因

夜更かし朝寝坊、夜間の電子機器(スマホ、パソコン、テレビ、ゲーム、タブレット)の使用、心理社会的ストレスなどを契機に脳の自律神経中枢の機能が悪くなり、その結果、交感神経(肉体を動かし活動するための役割。車でいうアクセル)と副交感神経(体を休め疲労を回復する役割。車でいうブレーキ)の働きのバランスが崩れることによります。すなわち活動したい時に体が動かず、休みたい時に眠れず疲労が取れないという状態になります。

起立性調節障害の検査

1.起立負荷試験:臥床安静時と起立後の血圧・脈拍数を測定し、異常な血圧・脈拍数の変動がないかを調べます。検査結果により、起立性調節障害を4つのタイプに分類します。

2.血液検査:甲状腺機能異常などの他の疾患の鑑別除外のために行います。

3.心電図:心疾患・不整脈の鑑別のために行います。

4.脳波検査:失神の既往のある場合に、てんかんや脳血管疾患の鑑別のために行います。

起立性調節障害の治療

1.生活習慣の改善
(1)水分を多くとる(1日1.5~2.0L)。
(2)塩分を普段より3g(3つまみ、小さじ1/2杯、梅干し1-2個、納豆1パック)余分に摂る。
(3)立ち上がる時は頭を下にして30秒以上かけてゆっくりと立ち上がる。
(4)早寝早起き。だるくても日中は上半身を起こし日光を浴びましょう。
(5)夏季や体育の授業中など不調を訴えたときは速やかに日陰か室内で休みましょう。
(6)毎日運動しましょう。下半身の筋肉をきたえましょう。水泳や仰向けでの足上げ腹筋がおすすめです。
(7)コルセットやゴムバンドで腹部を締めたり、弾性ストッキングで下肢を圧迫すると上半身から下半身への血液降下を軽減できます。

2.薬物療法
(1)昇圧薬(メトリジン®、リズミック®):血管を収縮させ、静脈還流量を改善し頻脈をおさえる。
(2)β受容体遮断薬(インデラル®):体位性頻脈症候群の脈拍数を下げる。
(3)漢方薬:補中益気湯、柴胡桂枝湯、半夏白朮天麻湯、小建中湯、苓桂朮甘湯

3.生活環境調整
(1)学校の担任教師、養護教諭、校長に適切な起立性調節障害の知識や対応をしってもらう。教師の理解が得られないとお互いの信頼性が低下し不登校へつながる。
(2)家族の理解。午前中に脳血流低下による疲れ、だるさからだらだらしているように見えますが、「怠け」ではないことを理解しましょう。体調が悪いのに無理やり起こして登校させたり、怒ったりすると親子関係の悪化につながります。

4.心理療法
心理社会的ストレスを抱えている児は治療に難航します。カウンセリングや小児心身症専門医による診療が望ましいです。

 

先生からのひとこと

起立性調節障害は脳血流低下による身体的な病気です。朝起きれない、だらだらするにも関わらず夜は元気なのは、怠けているのではなく昼と夜の活動リズムがズレてしまっているためです。お子さんの症状を真摯に受け止め、病気の理解に努めましょう。理解なしに決めつけや親のエゴの押し付けは親子関係の悪化や不登校へつながるため注意しましょう。