症状詳細 症状詳細

感染症

                           症状名
RSウイルス感染症 Respiratory Syncytial virus infection

RSウイルス感染症とは

Respiratory Syncytial virus(RSウイルス)は急性細気管支炎の原因の70~80%を占め、流行時期は冬季が多いとされてきましたが、近年は夏季にも流行しています。
急性細気管支炎は2歳以下の乳幼児で、呼気性喘鳴と多呼吸や陥没呼吸などの呼吸困難を生じる下気道疾患です。強い呼吸器症状のために医療機関への受診や入院を必要とすることが多いです。

RSウイルス感染症の症状

発熱、せき、鼻水、鼻閉、息を吐いたときに「ゼェーゼェー」と音がする(呼気性喘鳴)、息が荒い(多呼吸)、おなかをへこませて息をする(陥没呼吸)、哺乳困難、顔色や唇の色が蒼白~青紫色になる(チアノーゼ)など。

RSウイルス感染症の治癒後、呼吸器感染症にかかるごとに喘鳴や呼吸困難を繰り返したり、気管支喘息を発症したりすることがあります。

RSウイルス感染症の症状

RSウイルス感染症の原因

RSウイルス主に接触感染によって気道内に侵入後、鼻咽腔に定着し、4~6日間の潜伏期間をおいて上気道症状を発症させます。
発症から数日後に下気道へ炎症が波及すると細気管支炎を発症させます。

RSウイルス感染症の検査

(1)迅速検査

鼻を綿棒でこすり、RSウイルスの抗原を検出します。

(2)血液検査

細菌の混合感染を調べたり、脱水症の評価をするために行います。

(3)胸部X線

肺炎や気管支に痰がつまって空気が入らない部分(無気肺)がないかを確認します。

RSウイルス感染症の治療

呼吸困難や酸素化不良(酸素飽和度<94%)、脱水症、睡眠不良を認めるお子さんは入院になります。
また、生後3か月未満の乳児、在胎36週未満の早産児、慢性肺疾患、先天性心疾患、ダウン症などの基礎疾患を有する児は重症化するリスクが高いため入院が必要です。

1.治療薬

(1)去痰剤(痰切り)・抗ヒスタミン薬(鼻水止め)・解熱鎮痛薬(熱冷まし)
(2)鼻汁吸引:鼻水を吸引・除去することで呼吸苦・哺乳困難を軽減しますが、あくまで一時的です。
(3)酸素投与:酸素飽和度が94%未満のお子さんには酸素吸入が必要です。
(4)抗菌薬:細菌の混合感染がある場合に併用します。
(5)気管支拡張薬の吸入:気管支を拡げることにより呼吸困難の軽減を目的に使用されることがしばしばありますが、生後6か月未満の乳児には有効性を示すエビデンスはありません。
(6)ステロイド:内服や注射薬による全身投与をすることがしばしばありますが、明らかな有効性を示すエビデンスはありません。
(7)ロイコトリエン拮抗薬:気管支喘息の治療薬。罹病期間を短縮する効果が期待されましたが、国際的な研究では明らかな有効性は確認されていません

2.予防接種

パリビズマブ(シナジス®注)はRSウイルス感染症の重症化予防に効果があり、生後1-2年以内のRSウイルスの流行時期の間のみ定期的に月1回接種します。
適応は①在胎36週未満で出生した早産児、②2歳未満の気管支肺異形成症、慢性肺疾患、先天性心疾患、免疫不全、ダウン症候群などの基礎疾患を有する新生児・乳幼児。
※上記のような出生時の異常がない健常児は接種できません。

                           宮崎先生よりひとこと

先生からのひとこと

RSウイルス感染症は小学生以上のお子さんや大人がかかると普通のかぜ症状で終わりますが、1歳未満の乳児や基礎疾患を持つ児、高齢者がかかると重症化するリスクが高い感染症です。哺乳量低下、呼吸困難、無呼吸、脱水症状を認めるときは、早めに医療機関を受診して下さい。