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ワクチン
2024.03.17
MRワクチンは早く受けたら麻疹を防げる?
令和6年3月に麻疹(はしか)感染者が増加している(流行ではない)報道を見られて、乳幼児をお持ちのお母さん方は麻疹に対して不安を感じておられると思います。麻疹の合併症には、肺炎・細菌重複感染・脳炎・亜急性硬化性全脳炎など命に関わるものもあります。お母さん方の中には、「自費でもいいから早くMRワクチンを打てばよいのでは?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。では、MRワクチンの早期接種は本当に感染予防効果があるのでしょうか?
■MRワクチンを推奨年齢より早く接種すれば麻疹を予防できる?
答えは、「No!」です。1歳未満の乳児は母親から臍の緒(胎盤)を通じて母親の麻疹の抗体をもらっており、これを移行抗体と言います。移行抗体がなくなるのはおよそ生後6~12か月までと言われています。この移行抗体が残存している1歳未満でMRワクチンを接種しても、移行抗体の影響で十分な抗体が産生されません。0歳でも感染する麻疹の予防接種が1歳以降なのはそのためです。生後6か月以降、自費でMRワクチンを接種できますが、これは無効とされますので、結局1歳と年長時に1回ずつ接種しなければならないため、MRワクチンの接種回数が増えてしまいます。
MRワクチンは1歳以降で1回接種すると95%以上で免疫が獲得でき、10年以上は効果が持続します。したがって、1歳時にMRワクチン1回目を接種していれば、年長(5-6歳)未満で2回目を接種する必要がないのです。またワクチンを複数回接種する場合、十分な接種間隔をあけないと2回目接種時に飛躍的に抗体を増加させる効果(ブースター効果)が低くなります。年長時に2回目接種すれば効果的なブースター効果が得られますが、年長未満で接種してしまうと、逆に十分な免疫をつけられないことになります。
■まとめ
MRワクチンは、1歳未満に1回目、年長未満で2回目と時期を早めて接種してしまうと十分な免疫をつけることできず、麻疹の予防に対しては逆効果になります。
麻疹から大切なわが子を守りたいのであれば、焦らず適切な時期(推奨年齢)にMRワクチンを接種しましょう。