コラム詳細 コラム詳細

コラム詳細 コラム詳細

CATEGORY

ワクチン

2025.09.14

痛くないワクチン―フルミスト点鼻液

秋になると10月頃からインフルエンザの予防接種が始まり、毎年の恒例行事ですよね。注射を怖がり逃げ惑うお子さんたちを抱きかかえて医療機関に連れてきて、押さえつけながら予防接種をするのは親子ともになかなかの負担です。更に小学生以下は2回も接種しなければならないのも玉に瑕。ところが、ついにインフルエンザワクチンの痛みから解放される時代がやってきました!今回は、痛くないインフルエンザワクチン―フルミスト点鼻液についてご紹介いたします。

1.フルミスト点鼻液って何?

フルミスト点鼻液(以下、フルミスト)」とは鼻からスプレーするタイプのインフルエンザの弱毒生ワクチンです。注射薬と異なるフルミストの特徴は次の通り。

フルミストの3つの特徴◆

・針を使わないので痛くない

・1回の接種でOK(注射薬では13歳未満は2回接種)

・高い予防効果が約1年間持続(注射薬は約3-4か月間)

フルミストは元々海外からの輸入ワクチンであるため、インフルエンザの対象株は毎年、世界保健機関(WHO)が予想した流行株に対してのワクチンとなっており、注射薬に入っている日本の厚生労働省が予想した流行株とは異なることがあります。しかしながら、交叉免疫というものがあり、対象株の異なるワクチンでも十分な予防効果は期待できます。

2.フルミストの接種対象は?

フルミストは2~18歳の方なら誰でも接種できます。

但し、以下に該当する方はフルミストを接種することができませんので、注射薬での接種になります。

 

5歳未満で1年以内に喘息発作の既往がある、または現在、喘息症状があり治療中の方

卵白や他のワクチン成分(ゼラチン)に対して重度のアレルギーやアナフィラキシーの既往がある方

アスピリン服用中の方(川崎病後や心疾患などの方)

免疫が著しく低下している方(免疫不全症、ステロイド薬・免疫調整薬服用)、または免疫が著しく低下している人と同居している方

直近1ヵ月以内に生ワクチン(麻疹/風疹,水痘,おたふくかぜ,BCG)を接種している方(※27日以上の間隔をあける必要があります)。

基礎疾患(心臓疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害など)を有する方

妊娠していることが明らかな方

 

3.フルミストの接種で注意すべきことは?

重度の鼻水・鼻づまり(常に垂れている鼻水や口呼吸・明らかな鼻声)がある場合は、接種しても鼻水で流れてしまったり、ワクチンの吸収率が低下するため、フルミストが接種できません。したがって、事前に鼻症状の治療をしておく必要があります。当日にこのような症状がある場合は接種日時を延期するか、注射薬への変更が必要になります。

また今までインフルエンザの予防接種をしたことがない、且つインフルエンザにもかかったことがない方は、フルミストは4週間の間隔をあけて2回接種が必要になります。

 

4.フルミストの副反応は?

ワクチン接種後にくしゃみが出たり、喉に垂れ込んだりすることがあります(飲み込んでも特に問題ありません)。

30~40%の人で接種後3日~7日までに鼻汁・鼻閉・咽頭痛・咳などのかぜ症状が、数%の人で発熱が出ることがあります。

まれですが発疹、じんましんの他にアナフィラキシーショックやギランバレー症候群のような重い副反応を起こす可能性は、他のワクチン同様に否定できません。

 

まとめ

フルミストは痛みがなく1回接種で完了し、特に小児では高い予防効果が1年間持続するため季節外れのインフルエンザにも対応可能です。すなわち、お子さんにとっては負担が軽減され良いこと尽くしのワクチンです。今後は注射薬に取って替わられることが予想されます。痛くないワクチンでインフルエンザの合併症からお子さんを守りましょう。

▶︎ 一覧へ戻る