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診療のこと

2023.05.05

小児科と皮膚科/耳鼻科どっち?

自分の子どもに発疹が出たとき皮膚科へ行くべきか、小児科へ行くべきか迷いませんか?自分の子どもがかぜをひいたとき耳鼻科へ行くべきか、小児科へ行くべきか迷いませんか?そんなお母さんたちの疑問についてお答えしましょう。

 

小児科医と皮膚科/耳鼻科医の特徴

 

児科医の特徴は、内科のすべての分野に加えて皮膚科/耳鼻科/泌尿器科/眼科などの他科の分野まで浅く幅広い視点でお子さんをみることができます。皮膚科や耳鼻科に関するすべての知識や経験は持ち合わせていませんが、子どもによくみられるの皮膚疾患や耳鼻科的疾患の診療はできます。但し、耳鼻科疾患の外科的処置に関してはスキルや医療器具がないためできません。

 

膚科医は皮膚疾患のスペシャリスト。大人から子どもまですべての皮膚疾患に関する知識・経験は豊富です。子どもというよりむしろ大人をみる機会の方が多いかもしれません。逆に子ども特有の全身疾患に伴う皮膚病変に関しては、小児診療に経験豊富な皮膚科医でないと診断は難しいかもしれません。

 

鼻科医も同様にみみ・はな・のどに関するスペシャリスト。頭頚部に関する外科的な処置を得意とします。また花粉症などアレルギーに関する診療もできます。皮膚科よりは子どもをみる機会は多いですが、あくまで大人がメインといった印象です。みみ・はな・のどに関する局所的な診療に関しては秀でていますが、肺や心臓・肝臓・腎臓などの他の臓器に関連する内科的な全身疾患の診断や管理に関してはやや不得手かもしれません。

皮膚科医/耳鼻科医は大人の診療を主とすることが多く、人によっては子どもの扱いに慣れておらず、子どもへの話し方がぎこちなかったり子どもが苦手な先生もいます

 

発疹や湿疹が出たら小児科と皮膚科どっち?

湿疹やアトピー性皮膚炎、とびひ(膿痂疹)、口唇ヘルペス、かび(真菌症)などの局所的な皮膚疾患に関しては、小児科と皮膚科のどちらへいっても大きな差はなく同等の診療がうけられます。但し、食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎は、小児科医で食物アレルギーの管理が必要です。一方で治療してうまくいかなかった場合は、診療科を変えてみるの良いかもしれません。その際は、使用していた治療薬の名前や使用方法(塗布部位や1日の塗布回数)、治療期間、治療方針などを詳しく他科の先生に伝えるようにしましょう。前の治療経過の情報がないと、次にどの薬を使えばよいのかわからず、また最初から同じ治療をしてしまうことになりますのでご注意を!

みずいぼ(伝染性軟属腫)に関しては、小児科ではピンセットで摘除することが多いですが、皮膚科では液体窒素で焼くことが多く、同一疾患でも診療科によって治療法が異なることもあります。

水ぼうそう、突発性発疹、麻疹風疹、出血斑(紫斑病やIgA血管炎)、自己免疫疾患にともなう紅斑など感染症や全身性疾患に伴う皮膚病変に関しては、皮膚科医では診断・治療は難しいことが多く、小児科へ受診するのが良いでしょう。

 

かぜをひいたら小児科と耳鼻科どっち?

軽い咳や鼻みずなどのかぜや花粉症に関しては、小児科と耳鼻科のどちらへいっても大きな差はなく同等の診療がうけられます。かぜがこじれて気管支炎や肺炎になり熱が下がらないときは、血液検査や抗菌薬の投与、全身管理、場合によっては入院治療の見極めや病院紹介も必要になるため小児科に行く方が良いでしょう。抗菌薬の扱いに関しても小児科医が得意とする所です。

中耳炎に関しては、小児科では鼓膜の観察による診断と内服抗菌薬・鎮痛薬などの一時しのぎの治療はできますがさすがに限界があります。耳垢で鼓膜が見えないと診断すらも難しくなります。耳垢の除去や鼓膜切開・チューブ挿入などの外科的処置が必要なこともしばしばあり、中耳炎は基本的には耳鼻科へ行くのがおすすめです。

 

まとめ

小児科医は全身・すべての分野の病気を初見でみて、必要に応じて他科へ振り分ける「子どもの病気の司令塔」の役割を担っています。どの科へ行くか迷ったときはまず小児科へ受診することをおすすめします。いきなり皮膚科や耳鼻科を受診するのもありですが、症状がよくならない、治療がうまくいかない場合は小児科を受診するのが良いでしょう。小児科医の強みは子どもの特徴を熟知し、子どもの扱いに慣れていること。そして、皮膚や耳、鼻、のどなどの局所だけでなく、子どもの全身をみて、それ以外の症状にも対応できる点においては何かと便利かもしれませんね。

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