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子どもの症状診療のこと
2023.06.25
子どものかぜと目やに
お子さんがかぜで受診されたときに、お母さんから「朝起きたら目やにがびっしりつくようになったんですけど、これって眼科に行った方がいいですよね?」という質問がよくあります。しかし!実はこの目やに眼科にいかなくていいことがほとんどなのです。
1.涙の流れとはたらき
涙は目の上外側にある涙腺とよばれる工場でつくられ、外側から内側へ流れて目を潤し、目の表面の垢やごみを取り去り、最終的に目と鼻をつなぐ鼻涙管を通って鼻へ抜けてなくなります。
2.目やにができる原因
目やにができる原因は以下の3つがあります。
- ★目の代謝活動でつくられる目やに
- ★目から鼻への涙の流れにくさでつくられる目やに
- ★目の炎症によってつくられる目やに
1)目の代謝活動でつくられる目やに
目は皮膚や体と同じように代謝をして、古くなった細胞を入れ替えています。朝起きたときに、目頭や目じりにみられる少量の目やには、正常な代謝活動でできた老廃物です。
〔対処法〕
病気ではないので、濡れガーゼなどでやさしく拭き取ってあげるだけでよいです。
2)目から鼻への涙の流れにくさでつくられる目やに
子どもはかぜをひいたときに目やにがよく出ます。その原因は目から鼻への涙の通過障害によるもので、子どもの目やにの最も多い原因です。かぜによって涙の出口である鼻が鼻水や鼻の粘膜の腫れで詰まることで、涙が鼻へ流れず目にたまってしまい、乾燥することで朝になると目が開かないぐらいに目やにがつくことになります。この場合、目そのものには問題がないため白目(結膜)が赤く充血していないことが特徴です。
一方、生後1か月の新生児に時々みられる目やには目と鼻をつなぐ鼻涙管という管がもともと狭い(鼻涙管狭窄)ため、涙がうまく鼻へ流れず同様のメカニズムで目やにができるというものです。
〔対処法〕
目は健康であるため、抗菌薬や抗アレルギー薬、抗炎症薬などの目薬を使ってもほぼ症状は変わりません。お母さんたちにも慌てて眼科で目薬をもらって嫌がる子どもに一生懸命に目薬をするけど一向に良くならなかった経験ありませんか?
この場合、鼻づまりの治療をするか、かぜが治れば一緒に目やにもなくなるため特別な治療は必要ありません。新生児の目やにも成長と共に鼻涙管が自然に拡がってくるため、何もしなくても治ってしまいます。上記1)と同様に、目やにが出たときは適宜濡れガーゼで拭き取ってあげるのみで十分です。
3)目の炎症によってつくられる目やに
目の炎症(結膜炎)はウイルスや細菌感染、花粉症などのアレルギー、目をこすることによる物理的な刺激などによっておこります。この場合、白目のところが真っ赤に充血していることが特徴です。
〔対処法〕
目やにの原因は目の病気であるため、眼科の先生に診てもらいましょう。小児科を受診した場合は抗菌薬や抗アレルギー薬の点眼薬を処方しますが、それでもよくならない場合は眼科を受診することをお勧めします。特にかぜ症状がないのに目が赤く目やにが出て、家族にもうつっていく場合は「流行性角結膜炎(はやり目)」の可能性があるため、眼科で目のアデノウイルスの検査を受け、適切な治療を受けましょう。
3.まとめ
“白目が白い”目やには治療はいりません(目薬は無効)。
“白目が赤い”目やには眼科受診と目薬の治療が必要です。