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診療のこと
2023.01.01
ドクターショッピングって知ってる?
医療機関への上手なかかり方~その1
皆さん、「ドクターショッピング」って言葉をご存じですか?診断や治療に納得がいかずに複数の医療機関を次々と変えて受診することを言います。満足できる商品が見つかるまで複数の店を回って買い物を続ける行動に似ていることから名づけられました。
では、こういった医療機関の受診のしかたはいかがなものでしょうか?ドクターショッピングをすると、受診ごとに施設や診療医が変わるため親御さんにとっても毎回初めから病状の経過を説明しなければならないという手間がかかります。また診療医からしても継続的に経過をみていないので病状やお子さんの体の特徴を把握しづらいといったデメリットがあります。処方履歴や検査結果も複数の施設にバラけてしまうため一元的に時系列的で経過をみることが難しく、それぞれの施設での処方内容や検査データを逐一確認しなければなりません。また診療医によってはそれぞれ治療方針がことなることもあり、日ごとに治療が変わってしまっては一貫した診療もできず治るものも治りにくくなり、医師と患者との信頼関係も築きにくくなってしまいます。
ドクターショッピングとは、医師の診療内容に納得がいっていない、強い不安に襲われている親御さんが繰り返すものです。しかしながら、各々の地域において自宅からの近場に存在する小児科クリニックの数は限られています。遠方のクリニックに通うのは、病気のお子さんを長距離連れまわすことによる病状悪化、受診するまでに時間がかかる、こまめに受診するには不便などあまりよいとは言えません。そこで、まずは近場のクリニックにかかり、診療内容に納得がいっていないようであれば、親御さんの納得がいくまでとことん1人の主治医に質問して説明を聞いてみてはいかがでしょうか?もし、それで安心してお子さんの健康を預けるに足りる医師であると判断できるのであれば、そのクリニックに足しげく通うのも良し。医療者側が忙しさにかまけて親御さんの話をまともに聞いてもらえない、親御さんと医師の性格・相性が合わない、しばらく通ってみたけど一向に病状が良くならない、ようであれば医療機関を変えてみても良いでしょう。
医療機関への上手なかかり方は、自宅から近場で通いやすいクリニックをみつけること。そして、そこの医師へ安心して診療を受けることができ、親御さんやお子さんとの相性が悪くないのであれば、その特定の医師に継続的に診てもらうことでお子さんの性格・特徴・病状をよく知ってもらうことが日常の健康維持・管理にとって最適解と言えるでしょう。ちなみにかかりつけ医はメインとサブの2つ作っておき、一方が休診日の時にもう一歩へ受診できるようにしておくのが良いです。3つ以上のかかりつけ医は必要ありません。
これはわれわれ医療者側にとっても、地域の皆様へ安心・安全の医療を提供するために常々心がけていることでもあります。