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子どもの症状季節のこと

2023.08.17

熱中症と夏かぜの見分け方

熱中症と夏かぜの見分け方

太平洋高気圧やフェーン現象、ヒートアイランド現象などの影響により日本の夏は40℃にせまる猛暑日が続き、全国で毎週8000~9000人もの熱中症による救急搬送者が認められています。その半数以上は高齢者ですが、1割は小児・乳幼児が占めています。熱中症の大半は軽症~中等症ですが、そのうち約2%は重症や死亡例があり、生命の危険を伴う疾患と言えます。一方で、同時期にヘルパンギーナをはじめとする「夏かぜ」が流行する時期でもあり、熱中症との見分けをつけるのが難しいですよね。実際に親御さんが熱中症を心配して受診された発熱のある小児の大半が夏かぜやコロナ、インフルエンザなどの感染症であること多いのも事実です。では「熱中症」と「夏かぜ」はどうやって見分ければよいのでしょうか?

 

1.熱中症とは

高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体温の調節機能が壊れることで、体温が上昇しつづけて脳や体の臓器に傷害をおこす病気のことです。

子どもは以下の理由で大人に比べて熱中症になりやすいです。周囲の大人が気にかけてあげましょう。

  • 汗をかく機能が未熟で体温を下げるのに時間がかかる。外気温の影響を受けやすい。
  • 乳幼児は身長が低いため、地面からの照り返しの影響をうけやすい(大人の体感温度の+3℃)。
  • 自分の体調の変化を訴えられない。遊びに夢中になると身体の変化に気づかず、体の限界を超えた時点で突然不調を訴え急速に状態が悪くなる。

2.夏かぜとは

一般的には「夏かぜ」とはヘルパンギーナのことを指します。ヘルパンギーナとは、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる感染症で、4歳以下の幼児に多いです。のどの奥に水疱やアフタ(粘膜が薄くはがれた状態)ができるのが特徴で、痛みのために一時的に飲食がしづらくなるお子さんもいます。1-2日間程度の発熱を伴う人もいます。

他にも夏場に流行する感染症としては、アデノウイルスによる咽頭結膜熱手足口病伝染性紅斑(りんご病)、細菌性腸炎(食中毒)などがあります。

3.熱中症と夏かぜの症状の違い

まず熱中症を疑う大前提として下記の条件をみたしているかで判断します。みたしていない場合は熱中症の可能性は低いです。

〔環境〕 高温多湿、換気不良、日差しが強いなどの環境下にさらされていた

〔からだ〕乳幼児、肥満、低栄養状態、脱水状態、体調不良

〔行動〕 激しい運動、慣れない運動、長時間の屋外作業・運動水分補給不足

 

両者に共通する症状としては、発熱があります。熱中症では体温調節機能が失われているために、42℃を超える高体温が持続または上昇しつづけます。夏かぜでは、約37℃を好むウイルスの働きを弱めるため、脳が意図的に体温を上げているため通常42℃を超えることはありません熱中症は体温が上がったままであるのに対し、夏かぜは1日の中で体温が上がったり下がったりすることが異なる点です。子どもに多いのは、午前中は37℃台に下がるものの夕~晩に38~39℃の発熱が出るのをくり返すパターンです。

熱中症に特有の症状は、呼びかけに反応しないなどの意識障害、手足がしびれる・動かしにくい、汗が止まらない/40℃以上の高体温にも関わらず汗が出ないなどです。これらの症状を伴う場合は熱中症の可能性が高く、早急に医療機関を受診することをお勧めします。一方、体温の上下変動咳・鼻みず・咽頭痛などの感冒症状、発疹などの症状を伴う場合は夏かぜの可能性が高いです。

 

4.熱中症の応急処置

 ◇意識状態が悪い、全身けいれんがある場合は救急車を呼びましょう

 ◇太い血管のある首の両側、わきの下などを氷で冷やす

 ◇冷たい濡れタオルで体を拭く、または体を覆う

 ◇うちわや扇風機などで風を体に送る

 ◇涼しい場所に寝かせる

 ◇経口補水液(OS-1など)で水分・塩分補給をする

 (※スポーツドリンクは塩分補給不足のためダメ)

 

5.まとめ

高温多湿の環境下に長時間さらされ、40℃以上の高熱が持続し、意識障害手足のしびれ/こむら返り異常な多汗または汗が出ないなどの症状がある場合は熱中症」の可能性が高い。

意識清明かつ立つ・歩くなどの日常動作が可能で、体温の上下変動、明らかな咳や鼻水などの感冒症状がある場合は「夏かぜ」の可能性が高い。

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